どーも、お笑い工学の佐々木くんです。
今回のテーマは「M-1グランプリ2002の感想」
※書きかけだけど、下書きがかなりしたの方に行ってしまって辿るの大変なので、投稿してしまいました。もう少しで終わるので、ゴメンネ。
M-1グランプリ2002の審査員
(画面左から)
今大会からの変化
会場得点の廃止
お客さんによる会場票がなくなりました。
それもそのはず、ほとんどのお客さんは面白い面白くない、好みか好みでないかしか判断できません。漫才のテクニックが〜とかはネタの経験者である審査員しか見られません。
だったら、面白かったら笑って頂いて、それをウケ量として判断材料とした方が良いってことだと思います。
敗者復活の導入
2002年大会から、敗者復活システムが導入されました。
この制度がなければ、2007年のサンドウィッチマンの優勝はなかったですね。
最終決戦へ行けるコンビが3組に
前大会までは2組までしかいけませんでした。
司会者の変更
赤坂さんから山寺宏一さんへ、女性は菊川怜さんから中山エミリさんへ、紳助さんが審査員へ専念。前年から司会を引き継いでるのはきよし師匠のみです。
審査員の寸評が聞けるようになった
これは大きな変化です。なぜこの点数になったか?という理由のとっかかりが聞けるのです。僕は結構これが楽しみでした(笑)素人時代は理解できなかったけど、今なら昔のM-1なら大体わかります。これをヒントに勉強した芸人も多いのではないでしょうか?
決勝1回戦
ハリガネロック
「カップル〜カラオケ〜大上さんが女っぽい」
前年の最終決戦まで残ったハリガネロック。
今大会ではまさかのトップバッターでした。
トップバッターってちょっと不利なんですよね。まだ会場の空気が出来上がっていないので。
一箇所ボケがカットされています。
コンパは女性中心〜のくだり。なんのボケだったかな?わかる人、コメントください笑
ネタは昨年から引き続き、ボヤキ漫才。冒頭、1つだけユニゾンツッミ。
わりと序盤からお客さんにはウケてましたが、改めてみるとユウキロックさんが緊張してるのが分かりますね。
カップルへのボヤキパートはまだまだアイドリングという感じでしたが、ボケの強さ的には、大きな古時計のくだりの「普段のお前見せんな」で大きな笑いもあり、ガツンと掴めた感じがします。
そこから、大上さんイジリのくだりに入ってから、ちょっとユウキロックさんも本調子を取り戻してきてノッた感じがしてきました。
それに合わせてお客さんのウケもしっかりあって、こたつにキレるで盛り上がって終了。
これは僕の感覚なんですが、ボケの強さを、最後のボケであるコタツにキレる〜くらいのクオリティーで序盤から粒を揃えたハリガネロックも見たかったなという感じがしました。モノにキレるって面白いな〜とも思うし。今やシュールネタもやる人はたくさんいるので、もう少し上げ目のギアから始めても良いのかな、と。
お客さんにウケるボケの面白さのボーダーラインと、プロにウケるボーダーラインってちょっと違うんですよね。現代のM-1はみんな準備してきてると思うんですけど、この頃はまだ手探りだったんですよね。ほかのコンビもそうですけど。
個人的に面白いな〜と思ったのは、事前VTRで流れているネタは本番と同じネタだと思うのですが、ツッコミの大上さんがダブルピースの後に鼻をこするんですよね。クセか分からないですけど。
それが本番でも同じボケのところで同じタイミングで鼻をこすっていたところ(笑)
多分、一連の動きで覚えてると思うんですよね。
これ漫才やったことある人なら分かると思うんですけど、舞台の本番は緊張するから、練習した通りのことがそのままでる「自動操縦モード」になりがちなんですよね。4〜5分とか短時間の漫才なら特に。
もちろんその中で、冷静な部分を保って、その会場のお客さんがついてこれるテンポに合わせて行ったりするのですが。それがこの回大上さんはでたのかな〜と思ってみたり。...超余談でした(笑)
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 85 86 81 83 65 75 545
ますだおかだ
「マツキヨ・カツラ・整形」
2001年大会での漫才も僕は好きでしたが、今回のネタもめちゃくちゃクオリティーの高さを感じました。
一見、ベタとか揶揄されがちかもですが、オーソドックスの凄みを感じさせてくれました。
本ネタに入る前のツカミネタ「マツモトキヨシのCM」「カツラのCM(アートネイチャー?)」の時点で、短時間にポンポンと、いいテンポで大きな笑いをとって行きます。
本ネタ、「整形してこんな○○欲しい」に入ってからも、
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
80 95 96 90 92 70 89 612
ダイノジ
「レスキュー」
この大会全体でも、この時代的にもツッコミの方にキャラがあるっていうのは、珍しかったのかな?と思いました。(コントでは逆もあった気がしたけど)
で、冒頭は相方いじりのボケが続きますが、2ボケ目で全てのコント漫才に対するスカシをしています。攻めますねー(笑)これだけでダイノジがかなりトガったコンビだという事がわかります。現代では漫才をメタ視点で見るのは当たり前ですけど、この時代ですからね。スゴい事だと思います。
ホントはコント漫才が2〜3組でた後の方が面白くなると思うんですが、前2組がしゃべくり漫才だったので、それは運ですね。
出だしはお二人とも少し緊張しているような感じが見て取れます。ツッコミの大地さんも、ちょっと詰まったり日本語が変になったり。ボケに対してツッコミのボリュームが大き過ぎるのは...緊張かどうかわかりませんが(笑)でもとにかく声が大きい!
ボケの大谷さんも、ボケのテンポがちょっと速くなっちゃってたのかな?と思いました。
ちょっとお客さんの意識のちょっと先に行きすぎて、付いてこれてないような、客席との微妙なズレを感じました。
本ネタに入ってからは、これは...ほとんどのボケが大地さんの協力がないと成立しないので...
ほぼ全編ノリツッコミです(笑)ある意味ハライチです。
「オペの時間だ」「トラーイ」「一世風靡セピアを踊る」
他のコンビと違うアプローチを取ろうというのは、作戦としては今っぽいですよね。
全部ノリツッコミというコンセプトもあるし。
本ネタに入ってからは、客席とのテンポも合ってきて安定して笑いを取っていたと思います。
審査員の大竹さんの言うように、一世風靡のくだりがちょっと長くて、今度は逆にお客さんの意識より遅れてしまって、お客さんが待ってしまったというのがあると思います。正気に戻ってしまったというか。
実質、最後のボケがうまくハマらず、ちょっと尻すぼみになってしまったのが残念だったのかなーと。
ただこの部分、動きの面白さで、ライブではめっちゃウケてたんじゃないかな?という想像もしますし、こんなに長いノリツッコミやったったぜ!というチャレンジも感じます。
ノリツッコミって普通あんまりやらないし、難しいし、それで笑いとり続けるのはスゴい事なんですけどね。
最後のオチまちがえた?家政婦かお手伝いさんでは?→家事手伝い
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 84 81 78 78 60 83 534
テツandトモ
改めて見ると。これはスゴいエンタメでした(笑)
あるあるって面白いですねー!!
誰もが経験したことあるような、ホントに共感できるネタが満載でした。
曲に合わせて、歌い踊り、顔芸、あるある。
テツさんの動きのキレもすごいし、顔芸も面白いし。
トモさんの歌がうまいし、途中二人でハモってみたり。
序盤こそちょっとハマりませんでしたが、すぐにウケ始めてほとんど外さなかったんじゃないでしょうか?
二人ともリラックスして楽しんでやっていたし、パフォーマンスとして良いテイクだったんじゃないかな。
曲調も途中で変わったりして飽きないし、アドリブでサービス精神もたっぷり。
それだけ余裕があったって事ですよね。
ほとんどあるあるなんだけど、「昆布」のくだりだけ素朴な疑問なんですよね。
あれもテツさんの動きのコミカルさで笑ってしまいます。
本当に何度も何度も舞台でかけて完成させた、磨き抜かれたネタのクオリティーを感じました。
ネタ終わり、談志師匠の「お前らここに出てくる奴らじゃない」は、リアルタイムではピリつきましたし、スタジオも騒然としてるのですが、褒め言葉だとフォローした理由が改めてわかりました。
芸として完成されてるって事だったんですね。
ただ、「お前ら褒め言葉だってわかってるよな?」 は...わからないよ(笑)
「スタジオの空気を元に戻すのは我々」と言ったきよし師匠はナイスフォローですw
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 90 79 82 77 65 76 539
フットボールアワー
前年に続き、2年連続の決勝進出です。
うって変わってのネタの仕上げ方でした。度肝を抜かれた方もいるんではないでしょうか?
まず岩尾さんのキャラクターが変化しています。
2001年では、もっとしっかりしてる感というか、ある種、ほかの一般的なコンビと変わらないようなハキハキとした喋り方でしたが、この大会では後藤さんも冒頭で言っている通り「ボサッとしてる」というか「おっとりしている」というか「トロい」感じになっています。
冒頭のボケ「こちらファミリーレストランとなりますが」などのイヤラシイ言い方などお客さんへの圧のかけ方やたっぷりと間を使ってみたり、漫才のテクニック的にも幅が広がっていて、より面白さを伝える表現力が飛躍的にアップしています。
後藤さんのツッコミも、ボリュームコントロールなどお客さんとのコミュニケーションの仕方をみてると、「あぁ、ここに来るまでたくさんの舞台を踏んだのだろうな」と思いました。
この頃から、後藤さんもちょっとボケっぽい事を言っていますね。
いま現在のスマートツッコミみたいな事になるとは、当時夢にも思いませんでしたが(笑)
ボケも、皮肉やブラック、ナンセンスさ、ちょっとのシュールさ〜などなど。
1つ1つのボケがとても強力でおもしろく、カウス師匠も言ったように、文字通り「大人が笑う漫才」に変化していました。ハリガネロックのところで少し触れた、プロが笑うラインのボケがずーっと続くような。
さらに階段を駆け上がるようにギアが上がって行き、「鼻につくような感じ」「おっぱいの事を考えながら」でトップギアまで入って、大盛り上がりしたところで終了。
お客さんもしっかり最後まで乗せてくれて、まさに漫才の理想的なカタチでした。
ほとんどのボケは外さなかったのではないでしょうか?
ネタもパフォーマンスの出来もめっちゃかなり最高でした。
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 97 94 95 91 85 89 621
笑い飯
「パンもらう・工場見学」
当時、一世を風靡したWボケ。リアルタイムで見ていた人は、この斬新なスタイルに全員衝撃を受けたと思います。
「変われ」というフレーズで、1ボケごとにボケとツッコミが入れ替わり、変わりばんこにボケていくというモノです。
今までも、分からないくらいの感じで自然に入れ替わってるコンビはいたと思います。やすきよもそうですし、紳助竜介でもやってたと思います。
けど、ここまであからさまに、システム的にやっているコンビは初めてだったんではないでしょうか?
当時はスタイルのスゴイのか?ボケが面白いのか?よく分かってませんでしたが、今になって観てみると、まだ笑い飯は完成していません。未完成です。
というのも、漫才のテクニックの未熟さが出てしまっているのかな〜と思いました。
待てない。「このボケもう1往復会話を増やしたら、ウケるのになぁ...」みたいな場面が結構あります。他にも、お客さんがついてくる前にセリフを言ってしまって、伝わっていないというボケが流れてしまっている所などがありました。
あと話題変えるときスムーズでなくて相手を無視したような「意図しない笑い」が起きていたりとか。
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 83 84 84 80 80 86 567
おぎやはぎ
「結婚詐欺師になりたい」
まずいくら漫才とはいえ結婚詐欺師になりたいっていうテーマにするのがありえないですよね(笑)
当然ツッコミは止めなきゃなんですけど、矢作さんの「お前のやりてぇことなるべくやらしてやりてぇと思ってるからな」「お前に頼まれると俺弱ぇからな」で、二人の関係性を見せつつありえない設定を正当化して行くのが、今見るとスゴいし当時も新しかったのだなーと思います。
感情が入ってるんだか、ただの棒読みなんだか本気かどうかよく分からない(笑)トボけ感が魅力の小木さんと、その間違いをなだめるように、たしなめるように、ボケは指摘するけど人までは否定しない、優しいツッコミの矢作さん。
もっと小木さんのことを声を荒げて罵るようなツッコミをしていた時期もあったと思うんですが(イエヤスのDVDか何かで見た記憶)いつ完成したのでしょう。TV用にそうなっていったという事なのかな。
余談ですが、キングオブコメディの高橋さんは、おそらく矢作さんのツッコミから影響を受けていますよね。
さて、今回のネタですが、前大会2001年に比べてだいぶ漫才っぽい感じになった気がします。
矢作さんが、ボケに対してちゃんとツッコミで笑いをとる様になったというのが大きいかも。
タイミング勝負ではなく、会話の中のフレーズで訂正するのが斬新だったのですが、より分かりやすく笑いをとる方向に切り替えて、時間を活かしてボケ数を増やしたかったのかもしれません。
それでも、ツッコミで笑いをとった後に、前回同様のフレーズを入れたりもしていますね。
(「お前の好きなパーカーも売ってねえんだよ」)
前半のボケ4つくらいが、詐欺で騙す女の人にそれとなく貯金額を聞くのがヘタクソという、多少変化はしていますが同じボケがずっと続くことになるので、ツカミ切れなかった様に思います。
でもこれ二人のキャラにハマったり、冷静にシチュエーションを考えれば本当に変なことをしているので(笑)見る人の見方次第でめちゃくちゃ面白くなると思うんですよね。
二人の関係性からくるやりとりの可笑しみ、とくに演技のボケとかは見慣れないと面白さが分かりにくいと思うんですよね。ジワジワくる笑いというか。僕もしばらくバナナマンさんの面白さが分からなかったので(笑)
なので演技ボケ初見の人にはハマりにくいネタなのかも知れません。またはもっとゆっくりとテンポに時間を取れたら...。
ウケもまばらで決して面白くない訳ではないけれどお客さんそれぞれがジワジワしてる感じが見て取れます。
巨人の4番〜のあたりからボケがドンドン強くなって来ます。お客さんのウケもこのあたりからドーンとハッキリとした固まった笑い声になってきます。演技のボケから、しっかりと裏切るボケにシフトして行きました。
後半そのまましっかりと盛り上がって行きつつ終了。
審査員の点数がかなり高かったですね。
笑い飯に6点低く、惜しくも4位となりました。
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
80 82 85 79 79 80 76 561
談志・仙太万吉を思わせる
アメリカザリガニ
「カーチェイス」
前大会では、手探りだった事もあって、ネタに入るまでに時間がかかりましたが、今回は最短距離で本ネタに導入しています。
松本さんの「これというのが無かった」、洋七さんの「オチの強いのと弱いのが交互に」と言った通り、しっかりと裏切りのある強いボケが飛び飛びである印象を受けました。
「ハザード」「犬に腕を踏まれた」「キャッチャーかい」「日曜のお父さん」
など、面白いボケはたくさんあるのだけど飛び飛び。
ボケの粒の揃え方、ボケの並べ方でこの評価になっているように思います。
後半に行くにつれ、ボケがどんどん面白くなって、大盛りあがりで終わるというのが漫才の理想なので、賞レースにあたってその辺りの調整が必要だったかも知れません。
あとは、予想できてしまうボケが結構あったかな〜と。
「松竹といったらベタ」と某養成所の講師が言っていましたが、ちょっとそれを感じる部分はありました。
もちろん、間違いではないし、おじいちゃんおばあちゃんや、子供にはかなりウケると思うんですが、これだけのプロ中のプロの審査員を相手にした時にちょっと厳しかったかも知れません。
同じ松竹のますだおかだからは、それを感じなかったので、工夫の問題なのか、本人たちの好みの問題なのか。
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
70 83 83 78 78 60 73 525
スピードワゴン
「ボディレンジャー」
今も変わらず活躍中のスピードワゴンさん。
この年は敗者復活から勝ち上がって来ました。
こういう大舞台でもガッチリと冒頭に、お馴染みの茶番を入れて来るのはスゴい度胸ですよね(笑)
で、改めて見直すと、茶番なり本ネタから脱線しようとする所なり、今観てもオモシロイ!
おぎやはぎとも共通しますが、ネタじゃない部分が面白いんですよね。
用意したボケの外側のふたりのやりとりというか。
これが馬鹿よ貴方は新藤辰巳さんが言う関係性。
そして芸人は芸と人(ニン)と言いますが、人...つまりキャラクターの面白さなのでしょうか。
とはいえ、現代のM-1はいかに4分をうまく使うかという、スポーツみたいな競技化してしまったので、いきなり本ネタ入るのが主流だったりして、なかなか難しいところですが。
で、ネタの話ですが、やっぱり冒頭の茶番が面白いんですよね。
小沢さんの一人語りも良いんだけど、それに対する井戸田さんのリアクションのうまさ。
大きい声でツッコむ感じではなく、もっと落ち着いたトーンで「漫才で良いじゃん...」ってツッコミはなかなか出来ないと思います。
もともとコントもやっていた二人なので、わかりやすいボケツッコミ以外の会話の妙の面白さがわかっているのかな、と思いました。(おぎやはぎもそうだけど)
あとは井戸田さんが前のコンビでボケをやっていたというのも関係してるのかな?
とにかく井戸田さんのツッコミはちょっと違いますね。
ネタも茶番入れたり、「やすきよだよ!」など新しい試みやギミックが盛り込まれていて、挑戦的だし、飽きさせない作りでスゴく楽しい。
本ネタに入ってからも、クオリティーの高いネタでした。
それぞれのボケでウケてたと思うけど、「歯イエロー」のあたりでバッチリ掴めたかな、と。
そこから、どんどんお客さんをノセて行って、最後盛り上がって終了。
審査員からも「後半の畳み掛けが良かった」と言われていましたね。
スピードワゴンのボケの特徴として、「実は○○でした〜」っていうのがあります。
このネタで言うと、「くちびるパープル」のくだり。(じつは女の子、じつはおばさん)
これもコントっぽいボケ方ですよね。それがまたボケとしては強力なんですよ。
などなど、ネタ良し、キャラ良し、工夫良し、で審査員の高得点も納得でした。
(後出しで納得というのもアレですがw)
ちなみにですが、このボディレンジャーのネタ。爆笑オンエアバトルのDVDに収録されているモノと、若干バージョンが違います。何故そうなっているかは、また別の記事で。
談志師匠の点数はほぼ70点以上なのですが、スピードワゴンだけ50点をつけています。
これが他のコンビ同様、70点だったら5位になってましたね。
立川 中田 洋七 ラサ 大竹 松本 紳助 合計
50 85 86 86 80 75 73 535
最終決戦
フットボールアワー
「披露宴の司会」
このネタもかなり練り込まれた、強力なボケの連続の濃い〜漫才でした。
「搬入トラック」あたりからガッチリ掴んで、そこからのボケでお客さんと審査員を笑いの渦に巻き込みました。
この頃のM-1のフットボールアワーの特徴として、「1つのくだりで4つも5つもボケを入れている」というのがあると気づきました。1個目のボケでハマったら、2個目3個目のボケが畳み掛けてくるので、ずーっと笑うことになるというか。
1個目で耐えてもネバっこくネチっこく、ずっと攻めてくるので笑わずにはいられません。
今でいうところのミルクボーイなんかもそうですよね。
ハッキリとは言えませんが、共通するところはあるかも知れません。
こういう戦い方というか、お客さんの笑いのデザインもあるのかなあと、見ていて思いました。
で、ボケのクオリティーでは文句なしのフットボールアワーでしたが、「逆上〜」あたりから目に見えて笑いが少なくなり、お客さんも付いて来てくれなくなってしまいました。
笑い0ではないですが、図ったわけではないですが体感で結構長かったと思います。
そのまま持ち直すことができず、ネタ終了。
笑い飯
「機関車トーマス・電車で席をゆずる」
席をゆずるに入ってからはほぼ外さなかった。
ますだおかだ
「合併・漫才師育成ゲーム」
もう1ボケ目ののツカミ「吉本興業のますだおかだです」がもうハマってましたね。
1本目のツカミ「松竹芸能の〜」にカブせる形で、変化してるのが面白いですよね。
ここからしてサービス精神たっぷりだし、仕掛けが面白く、かつもうこの場における自分たちのポジションとか、受け入れられ方を理解している所にすごみを感じます。
それは本ネタ前の合併のくだりにも現れていて、企業が合併したら名前をくっつけただけで何の捻りもなくそのままだという主張の時に、「ますだおかだが言うのも何やけど」。
こういう立場ロジックというか、会話のロジック上ケアしなければいけない所をしっかりケアしているのがさすがだと思いました。
これ処理しないとお客さんは「は?」「お前が言うな」って思っちゃうので。
ちなみにおすぎとピーコのくだりの「バックアップします!」のバックアップは当時やっていたおすぴーがMCの番組名です。
序盤でも、本ネタ入ってからもありましたが、岡田さんとの関係を活かしたボケが面白いですね。無視とか、岡田さんのお母さんの名前暴露とか「え?ツッコミが得意?」とか。
で、本ネタ入ってからですが、そのゲームの設定を選択肢で決めていくという性質上、ほとんどのボケが「3段オチ」になっていた、...というかせざるを得なかったと思うんですけど、1パターンになっちゃって、これはお客さん的にもココでくる!という身構えができてしまうので、ちょっと厳しいかな〜と一瞬思ったのですが、そうじゃないんですね。
それはきっかけに過ぎなくてそこからの実演で深掘って行くので飽きずに楽しめます。
で、面白いのが、1つのくだりに詰め込まれたボケが3つも4つも入っていてとても濃密なネタになっていた所。
これは上でも書きましたが、フットボールアワーと同じなんです。
部分的にやっていた組はいましたが、ネタ全体を通してやってたのはこの大会では、この2組だけでした。
序盤から大きめの笑いもあり、途中で客席から拍手も起きて、最後畳み掛けるようにしかもそれ自体も強めのボケで、かなり盛り上がって終了しました。
かなり贔屓目ですが、もう精密機械のような間で、ノーミスのパフォーマンス。
会場の空気をしっかりとつかんでいました。
順位
優勝 ますだおかだ (612 予選2位)
準優勝 フットボールアワー (621予選1位)
3位 笑い飯 567
4位 おぎやはぎ 561
5位 ハリガネロック 545
6位 テツ&トモ 539
7位 スピードワゴン 535
8位 ダイノジ 534
9位 アメリカザリガニ 525
総評
立川談志の審査基準
プロの水準を超えていれば、70点を付けていると思われます。ハリガネロックネタ終わりの寸評で「プロだからもう良いんじゃないですか?」と言っていたように、最初から全員70点以上でつけるつもりだったんじゃないかな、と。
なので基準より良ければその上をつける。
じゃあ、あれだけウケたフットボールアワーはなぜ70点なのか?といえば、スピードワゴンに「下ネタが嫌い」という理由で50点をつけた。基準より−20点です。
そしてフットボールアワーも最後に「おっぱい」が出てきます。これが下ネタとカウントされているならば、−20点引かれている。つまり、それさえなければ本来の点数は+20点。
ということは、このロジックで行くと、
談志はフットボールアワーに90点をつけていた可能性は高いんじゃないかと。
もう何をおっぱいとか言いながらマジメに語ってるのかという話なんですが(笑)
なぜフットボールアワーは負けたのか?
番組は前年よりだいぶ見やすくなった
優勝争いしたコンビの特徴