お笑い工学研究所

お笑い工学を研究する元お笑い芸人の「佐々木くん」とお笑い工学を広く伝えたい「そもんず」によるお笑い工学の研究所です。

元お笑い芸人がM-1グランプリ2018の全ネタ批評・感想を書いてみた

f:id:yoshiwakko:20181204150450j:plain


 

どーも、佐々木くん名言botです。

今回のテーマは「M-1グランプリ2018の感想」です。

 

みなさんは、M-1観ましたか?

面白かったですよね!

 

という事で、勝手に賞レース恒例の元プロかつ、分析大好き芸人の目線からの「全ネタレビュー」を今回もして行きたいと思います。

 

本当はこんな批評できるアレじゃないですよ?(笑)

全ての芸人をリスペクトしてますし。

 

あくまでもの珍しさのエンタメとしてね?

毎回言うけど、お父さんが酒飲みながらTVで野球観て、「俺に監督やらせろ!」とほざいてるイメージで、読み物として楽しんでくれたら良きです!

 

 

 

勝戦・全ネタレビュー(出番順)

 

見取り図

女の子を紹介して欲しい

 

スーパーマラドーナ

隣のサイコパス

もうここは何も言うことないよね(笑)表現力の高さがもうパンパンに仕上がりすぎている。これはもはや田中ショー。だってガチャン!バチン!バチン!で笑いが来るんだよ?(笑)一発ギャグとか、全てを一通りやった上での表現力何だなーと。

 

ぼくはメチャクチャ面白かったんですけど、点数伸びませんでしたねー。今回の審査員は現場の笑い量とかとくに重視していたからかな。

 

2017に比べて、ぶっ飛び過ぎず、誰も置いていかないボケが僕は好きでした。これちょっと高度なことしてるんですよね。「ボケ」「ツッコミ」じゃなくて、空気感というか気まずさを表現する「演技でボケている」んですよね。

 

和牛もやってますけど。

 

それって、ジワジワ来る笑いなんですよね。波のようにザワザワ〜と「何か変だな」というのが徐々に広がっていって、それが続いて「あぁ変だ」と耐えられなくなってドカン!みたいな。

 

笑いって重ねてくごとに「雪だるま式」にデカくなって行くんですけど、ジワジワが多かったんで、テクニック的に高度ではあるんだけれども、競技としての4分の使い方として、判定を取られた感がありました。

 

田中さんのこの演技力、役者としてオファーあってもおかしくないですよね?

 

見た目もコントラストがあるし、策士と実行犯のすごく良いコンビだな〜と今回も見ていて思いました。

 

かまいたち

タイムマシーンがあったらしたい事

ちょっと待って。この二人の異常なまでの「漫才の聞き取りやすさ」なんなん!?

 

 

そしてもうこの二人も仕上がり過ぎていて、あの漫才を思い起こさせた。

 


アンタッチャブル漫才「プロポーズ」

 

ツッコミのあのリアクションのうまさは、本当にちょっと「今ここで起きているハプニング」に見えました。

 

 

 

ジャルジャル

国分けっこゲーム

これまたジャルジャルの得意なカタチで...。(笑)中川家の礼二さんも言ってましたけど、ジャルジャルってデビューの時からほとんどこのカタチなんですよね。手押し車のやつ、引ったくり、オバハン、etc...。

 

で、これこそ「演技ボケ」(芝居ボケ?)の最たるモノですね。

もう言い方から、身体のフォームから、1つ1つが面白すぎる...。

 

昔、こんな記事を書いておりまして...。

www.owaraiengineering.com

 

で、ジャルジャルのネタは、この感情のコップ理論(と、僕が呼んでいる)を使ったものなのかなと思っています。

 

「ここからこれ以上言葉を浴びせたら、ここで笑いになる!」みたいに、すべて計算し尽くされていて、シナリオをガッチリ組んでいる。

 

...と思ったのですが、、、

 

 

 あ、あああ...アドリブ....??????

 

もう台本芸人のぼくからしたら、とんでもないことです、、、

 

アドリブて....。

 

時間も決まってるだろ...(そこかよ)

 

とにかく、前大会の流れを引き継いだ、とっても玄人ウケするネタだったと思います。

 

ギャロップ

コンパの人数埋め合わせ

もうなんか安定感があり過ぎて、ベテラン感あり過ぎて、バラエティー生活笑百科を彷彿とさせる漫才でした。ちょうどほら、審査員席に上沼相談員も座ってるし。

 

ゆにばーす

ロケ中にブサイクカップルだと思われたくない

最初に噛んでしまったのが痛かったかも知れません...。去年はスゴく面白く感じて、それでいつつ、よくよく観たらオーソドックスっていうのを(ただし質は高い)、隠せていたと思うんですよ。

 

今回、冒頭でツカミに失敗してしまったことで、それがバレてしまった感じはしました。

 

あと、やっぱり正気に戻されてしまったから、余計に気になってしまったのだけど、「あれ?設定なんだっけ?」というのがあったかなぁ。

 

でも、途中の女の子の方の「ひとり喋りの達者さ」には可能性を感じましたね。

 

彼女もモンスター装ってますけど、表現力がスゴイんですよ。

まず台本という作戦どおりに任務を遂行できるのが、プレーヤーとして大前提ですからね。それに加えて、自分の良さを出し切れる表現力。原の魅力を、最大限に引き出す川瀬名人のシナリオ力。

 

川瀬名人くん自身もフレーズ職人なところあるし、年々南海キャンディーズ感は増してます。

 

ミキ

ジャニーズ事務所に履歴書送った

敗者復活から這い上がってきたミキ。

 

前大会のレビューした時に、僕は正直に「何でウケてるかわからん」と言ったんですよ。ハリガネロック的なオーソドックス感×ヤホー時代のナイツのような小ボケ連発で。

 

ただ人気はあるから何でかな〜と。

 

それが今回やっとわかりました。

やっぱりこの二人の漫才は、ツッコミの「お兄ちゃんが頑張ってる」漫才なんだなーと。

 

今回、またしてもYouTubeで観たのですが、今回はさすがにわかりました。

 

ボケツッコミよりも、お兄ちゃんの絶叫やリアクションなどの熱演で、笑いにしてる感じはあります。キャラクターと演技ですよね。

 

スタイル的にはウェストランドのちょい変形かな、と。

 

 

 

 

トム・ブラウン

ナカジマックスを作りたい

サザエさんの中島くんを5人集めて、ナカジマックスを作りたい。

 

彼らに関しては、ちょっとばかし特別な感情があるのですが...あえて厳しく書きます(笑)

 

トムブラウンは未完成である...!

 

ネタ的には「発想一発」のネタだと思いました。

いつかのM-1グランプリ決勝  ピースの漫才「魂〜」みたいなアイディア一本で持ってくやつ。

 

 

普段のネタを観たことないのだけど、まず「設定のリアリティーの飛ばし方」が気になりました。

 

 

ふつうは、

ドラクエキングスライムっているじゃないですか〜、スライムが集まって合体してくやつ。あれをアニメのキャラでもやったら面白いと思うんだよね〜」

 

これを入れます。

通常はこれを入れないと不親切なんですよね。

これネタ見せだと、作家さんにわりと言われます(笑)

 

これはワザと外してるのかな〜?どうなのだろ?

と思いました。まぁ、きっとケイダッシュのネタ見せを経てきているので、あえてだとも思いますが。

 

 

ちなみに、このリアリティーの省略は、キングオブコントの巨匠のネタでも感じました。(新聞紙を丸めると、クズなおっさんになるというネタ)

でも、これも予選では省略してたけど、放送では直されてたから、キ◯ガイはTVで流せないからだと思います。

 

 

というを踏まえて、トム・ブラウン大丈夫?と思いました。

キ◯ガイと思われない?平気?

でも止めなかったテレ朝の責任でもあるよ?と(笑)

 

 

もう1つ気になったこと。

それは、布川さんの「ダメ〜!」のタイミング。

 

 

 

霜降り明星

豪華客船に乗りたい

いつものスタイル。ボケ数も多くて、賞レース向きのスタイル。

 

和牛

俺がゾンビに噛まれたら殺してほしい

表現力もスゴイし、笑いの取り方のアイディアもスゴイ。

 

僕は和牛に「キングオブコント」を獲ってもらいたい。というか今年もし出てたなら、和牛だろうな〜と、2017のM-1を見たときから、ぼんやりと思っていた。その演技力の高さから。

 

去年はけっこうスタイルを変えて挑戦してたのですが、やっぱりこの屁理屈スタイルの方が僕としては好みだったので、嬉しかったですね。

 

表現力と屁理屈のハイブリッドなスタイル。やっぱ最終的には、自分が輝けるカタチに気付くんだなーと。そして今大会までに完成させてきたんだな〜と。

 

和牛の漫才はもはやコント。それもメチャクチャにレベルが高い。

 

断言します。キングオブコント2019の優勝は和牛です!!

 

...って言うような予言とかしたら面白いでしょ?(笑)

 

 

最終決戦

 
ジャルジャル

目立つのを均等にする

ジャルジャルを形容するフレーズで、同期で落語友だちの作家のけんちゃんがこんな事を言っていました。

 

ジャルジャルHIPHOPだ」

 

これを聞いた時はちょっと悔しかったですね(笑)

なぜなら僕はREMIXとかサンプリングというワードまでしかたどり着かなかったから。

 

クレイジーケンバンドのことを評して、ライムスターの宇多丸さんは「DJ 的な曲作りをしている」と言っていました。

 

ジャルジャルもこれと一緒で、既存のネタをバラバラに分解して、あっちこっちから引張ってきて1つのネタを作っていると思うんです。

 

彼らもまたDJ的な発想で漫才を組み立てているんだと思う。

 

既存のものを駆使して、新しい価値観を提示する...みたいな。

 

これは僕らの世代、思春期にヒップホップが流行った世代だから、お笑い好きかつ、音楽(特にクラブミュージック)が好きであれば、すぐに理解できると思うんですよ。

 

なので、最後までジャルジャルは「ベタをバカにしたかったんだろうな〜」と思いました。

 

そんなネタでした(笑)

 

今こんなのがあるみたいです。

ちょっと僕も懐かしいので、見てみたいと思います。

www.youtube.com

 

和牛

オレオレ詐欺に合わないよう母親を試す

 
霜降り明星

 

 

今大会の良かったところ

 

立川志らくという「良心」の登場

 

上沼恵美子がみずから「老害」と認めたこと

わからないモノには、素直にわからないと言う姿勢は、ぼくは潔いなと思いました。

 

審査員のバランスの良さ

前大会は、審査員が「保守寄り」だったんですよね。正統派漫才サイコー、ベタ万歳見たいな。

 

今回は、もうちょっと現代の笑いに理解あるメンバーが増えたのかな?と思いました。

志らく師匠、サンドウィッチマン富澤さん。

 

簡単に言うと、「お茶の間と審査員のズレが少ない」大会だったのかな、と。

 

ぼくも大会を観ながら、おこがましくも点数をつけて観たりしたのですが(笑)

審査員の方と、ほぼ一緒でした。スーパーマラドーナ以外。

 

いや、別にオレすげー!!!!じゃなくて(笑)お茶の間代表としてね。

 

14回目にしてわかった「M-1決勝へ行く条件」

 

ふわ〜っと知られた存在になれ!

全く無名の存在は、運営が気まぐれでも起こさない限り、ファイナリストに選ばれる確率は限りなく低いです。地下から這い上がって来た...みたいなストーリーで語られるトム・ブラウンですら、キャラパレやあらびきや、その他の番組でちょこちょこ呼ばれています。

 

業界知名度×お笑い好きに知名度×一般が「そういえば見た事あるかも...」くらいの潜在知名度が必要だと考えています。

 

磁石やアルコ&ピースの時も、そんな感じだったと思います。

 

以前、アマチュアが決勝に出たことがあったけど、もうないかな〜と。

 

枠内で1位になれ!

ベテラン枠。人気者枠。劇場エース枠。キャラクター枠。シュール枠。

 

特殊なストーリーを作れ!

M-1と言えば、事前Vのストーリーの面白さも見所の1つ。

 

とにかく何でも良いから引っかかれ!

 

 

見えてきた大型賞レースの勝ち方

表現力の高さとか味わいとかはいらん!

 

とにかく終わりに向けて、笑いを大きくして行って、手数も増やしていく。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はM-1グランプリ2018の全ネタレビューをしてみました。

 

もし気になるコンビがいたら、劇場までお笑いライブをぜひ観に来てくださいね♩

 

www.owaraiengineering.com

 

www.owaraiengineering.com