どーも、お笑い工学研究員の佐々木くんです。
今回のテーマは「演技のボケ」。
今回の記事は、もしかしたら一般の方は置き去りにしてしまうかも知れません(笑)
ただ、お笑い志望の子たちも読んでくれてるようなので、僕の研究発表をして少しでも役立てて貰おうと思い書こうと思いました。
あと、「今までこんなこと誰も発表してないだろ!俺スゲーーーー!!!!」と言うのを感じたいという自己満のための記事です。
もちろん、言うまでもなく後者がメインとなります。
まぁ...それは良いとして(笑)
僕も「演技のボケ」に気付いた当時、ネットで調べたりしたのですが、誰も何も書いていなくて、けっきょく自力研究となりまして。
長く研究していると、いわゆる「お笑いの一般ルール」だけでは、行き詰まってしまう瞬間があるんですよね。
それにブチ当たったわけです。それまでの僕は台本至上主義だったので。
だから、最初バナナマンのコントを見てこう思いました。
「あれ?これ今なんで笑い起きてんの?」
本気でそう思いました。
それが演技のボケだったのです。
この芝居ボケは、もしかしたら現役のプロですら、無自覚にやっている人もいるかも知れません。
(もちろんトップの人は分かってやっていますよ)
そのフレームが育ってないせいで、感知できずに「面白くねぇ」というジャッジを下してしまうかも知れません。
笑いの引き出しの中に、一緒くたに入っていて分類できてないかも知れません。
だから僕がここで書くことにします。
いろんな笑いのミステリーを解き明かし、終止符を打つのがお笑い工学の使命です(いま決めた)
それではボチボチ始めましょうかね。
演技のボケとは?(芝居ボケ)
これはもう、むかしの喜劇役者の時代からずーっとあるテクニックなんですよね。古くはチャップリンとか、それ以前もずっと。
最近わかりましたが、落語なんかでもよく使われているようです。
演技のボケとは、台本上に書かれていない所のボケです。むしろ書けないボケ。生身の二人が立体としてやるモノです。
「動き」とか「表情」とか「声」とか。
もちろん、お笑いを舞台でやる以上は、ある程度「声のパラメーター」を調整するのですが、それは演出する上での話。伝えるために必要なモノですから。
それ以上に演じる者によって生み出されるボケというか。
だから、一般的なお笑いルールである「フリオチツッコミ」はありません。
しいて言うなら「日常がフリ」。
日常での話し声って大き過ぎず小さ過ぎずですよね。感情もそこまで強くなく。テンションもふつう。会話の尺もお互いにちょうど良い分量でラリー。
それをフリにしてやる訳です。
僕がずっと言ってる、感情のコップ理論ですね。
これは演技のボケの発見から生まれたんですよね、実は(笑)
まぁ、難しいことは置いといて、こちらをご覧ください
..............................。
これは台本化出来ませんよねぇ?笑
紳助さんの「漫才の教科書」にも載っていない!
お笑い芸人にとって、もはやバイブルとなっている「紳竜の研究」というDVDがあります。
これは、吉本のお笑い養成所NSCで開催された”島田紳助さんの伝説の講義”が、収録されている事でも有名です。
それと別で、紳助さんの組んでいたお笑いコンビ「紳助竜介」の漫才のネタがいくつか収録されています。
当時の僕は、
「漫才を分析して分析して分析しつくした人の漫才を研究すれば、短期間で面白くなれるんじゃないの?」
などと、単純発想していたのですが(笑)
その後、研究をして色々と知った後に、再び紳竜の漫才を見てみると、
演技のボケを取り上げてないんですよ。
これまた漫才ブームの漫才師「B&B」の島田洋七さんが、副音声で紳竜漫才のテクニックを解説しているのですが、そこでも言及されていません。
一番の決め手は、伝説の講義内でチュートリアルの漫才のことを「感情で漫才してる」と言ったんですよね。
紳助さんが漫才師として活躍したのは80年代。あれから随分時が経ちました。その分、お笑いも進化して細分化されたんですね。
だから、分からなかったと思うんですよ。
チュートリアルの漫才批評としては、コント赤信号の渡辺正行さんの
「徳井さんのキャラクターショー」というのが正しいと思います。
ほぼコントだと。演技のボケだと。
ここで、紳助さんがスゴいのは「仕組みは理解できないけど、感知はしている」という事なんですけど。
そんな訳で、紳助さんはこのナゾを解明する前に、引退されてしまいました。
今まで明らかにされていなかったので、「演技のボケは才能」だとされてきました。
もちろん、プレイヤーの向き不向きあると思いますが、この辺で明らかにしていければ良いかなぁと思っています。
どんな芸人さんがやってるの?
最近の芸人さんで言うと、
ロバート
しずる
シソンヌ
はんにゃ
いま挙げた中でも、特に演技のボケを多用しているのが「バナナマン」ですね。
もちろん忘れちゃいけないのは、バカ殿でおなじみの「志村けん」さん。
この方は「キャラクター」の方のレジェンドです。
演技のボケの種類
・同じセリフを2回くりかえす
これはやろうと思えば誰でもできる、初歩的な「芝居ボケ」ですね。
簡単かつ笑いが取れるので便利です。
演技派芸人もけっこう使っています。
注意点は、何回もやると飽きられてしまうので、「1つの場で1回」位つかうのが無難かと思います。
何故かはわかりせんが、
「人間は”2回以上”同じ行動がくり返されると反応できない」
んですよね。
どこかの記事に書いたんですが、ゲームのモンハンをやったことがある方は分かるかもしれませんが、ボスモンスターの動きで2回、3回と回転しっぽ攻撃をしてきたりします。
これはボスを簡単に倒しにくいように、プレイヤーが反応しにくい行動をプログラムしているんですよね。確認とった訳ではないですが、やってて同じだ!と思ったので(笑)
・マシンガントークで大量のことばを浴びせかける
これは、ある一定以上のことば数を、間髪入れずにダダダダダダダダーと相手に浴びせかける、というやり方です。
これも日常をフリにしています。
ふつう会話のラリーでは、ちょうど良いことば数でキャッチボールしますよね?
そんな普段の会話をフリにしています。
相手が何か喋って、こっちも何か返そうと思うんだけど、いっこうに喋り終わらない。
やっと間が空いて、喋ろうと思ったらまだ喋ってくる。
もしかしたら、皆さんも巻き込まれたことがあるかもしれません。
もしくは加害者として(笑)
これは漫才やコントのボケにも出来るんですけど、その場合
「いつまで喋ってんだよ!」「長ぇな!!」「俺にも喋らせてくれないかな!」
みたいなツッコミをして落とすことも出来ます。
でも、それでは普通のボケツッコミになってしまうので、
これを「演技だけで」やるんですよね。
ガーッとかまわず浴びせ続けると、あるタイミングで笑いが発生します。
それだけでボケが完成して「オチる」んですよね。
・ふつうの喋り方から「おもしろ言い方」にする
これはシムケンこと志村けんさんが得意ですよね。
もともと「言い方」っていうのは、笑いを表現する「声の要素」の1つです。
たまに漫才でも「言い方だけじゃねーか!!」なんてツッコミ聞いたことありませんか?
あれって本当は、お客さん的には「は?」って思うようなことなんですよね。
だって、演者サイドのテクニックのことだから。
面白いボケを連発するはずの漫才なのに、そうでもない事を「面白い言い方で」それっぽく誤魔化してるだけじゃねーか!
という事なんですよね。
それでも、過剰に大げさな言い方を、ふつうに真面目に喋ってる終わりとかに入れると、ギャップが効いて面白くなるんですね。
・何らかのセリフを言ったあと変顔する
・急にテンション上げる
・大声を浴びせ続ける
・キャラクター(感情&イントネーション)
・おもしろ動き(構図)
・気まずい空気
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は演技のボケについて書いてみました。
ちょっと芸人志望のキッズたちのためにサービスしてしまいましたね!
まぁ、こういう手法もあるんだ〜という位で、頭の片隅にでも残してくれたら嬉しいですね。