どーも、お笑い工学研究員の佐々木くんです。
今回は3/6に行われた、日本一のピン芸人を決める大会「R-1ぐらんぷり2018」の感想を書いていこうと思います。
今大会で特筆すべきは、女性芸人が4人決勝進出しているという事。決勝メンバーの3分の1が女性です。
ずっと思ってたのですが、個人的にR-1グランプリは吉本とフジテレビのお祭りです(笑)2010年大会くらいまでは割とガチバトル感があったのですが、それ以降は審査員もふざけたりするし、評価も好みがてんでんバラバラだし、何かどーでも良くなった感ありますよねw 緊張の糸が切れちゃった感じ。
僕思うのですが、M-1やキングオブコントの時もそうですけど、最近は出場者はみんな伸び伸びネタやってますよね。あんまり緊張もせずに。これってもう芸人自体が賞レースにあんまり期待してないのかも?とも思うのです。優勝者よりも準優勝者が売れたり、順位関係なくキャラの強いコンビが番組呼ばれて結果残したり。おまけに大会だ、一世一代の勝負だっつって変にピリつき過ぎてめちゃくちゃ面白いコンビが解散したり。何ていうかもう賞レースに振り回される事に嫌気がさしてるんだと思うんですよね。審査員も結局はベテランが多くて、新しい笑いも評価されない。もしこういう大会を存続するなら、何か変えないとダメだと思うんですよ。審査員なのか、新しい大会なのかわからないですけど。
でも、芸人にとってチャンスはチャンスだし、がっつき過ぎず良い距離感を取れてるのは見ていて凄く良いと思います^^
※まだ2周しか見てないので、大幅に書き換えるかもしれません
- Aブロック
- ルシファー吉岡(マセキ芸能社)
- カニササレアヤコ(フリー)
- おいでやす小田(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- おぐ(SMA)
- Bブロック
- 川邑ミク(松竹芸能)
- チョコレートプラネット長田(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- ゆりやんレトリィバァ(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- 霜降り明星せいや(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- Cブロック
- 濱田祐太郎(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- 紺野ぶるま(松竹芸能)
- 粗品(よしもとクリエイティブエージェンシー)
- マツモトクラブ(SMA)
- 最終決戦
- おぐ
- ゆりやんレトリィバァ
- 濱田祐太郎
- 総評
Aブロック
ルシファー吉岡(マセキ芸能社)
息子のパソコン
演技がメチャクチャ上手い…という訳でもないんだけど、ポップなコメディ芝居が良いですね。キャラがあるんだか無いんだか良く判らないような(失礼)オチまでの持って行き方とか声のトーンとか、どことなく小峠フレイバーを感じましたね。
そして肝心のネタです。
カニササレアヤコ(フリー)
おいでやす小田(よしもとクリエイティブエージェンシー)
おぐ(SMA)
君の名は(ハゲたおっさん)
これはもうアイディア賞ですよね(笑)
壁に向かってキャッチボールをするように、他人のハゲをディスってる筈なのに全部自分に返ってくるという。
ブーメランハゲ自虐とでもいうんでしょうか?こんな難しいこと言わなくても純粋に「君の名は」の流れに乗ったっていうだけだと思いますけど。
本来、こういうお祭りの戦い方というのはこういう事なんじゃないかな。
それ以外はもうコントとしては普通ですよね(笑)
おぐさんじゃないと成立しないんじゃないかな?
準決勝のウケ方はどうだったんだろう?
本当に、弱めのボケを間を使って入れていってるだけですからね。
少し小峠感のあるツッコミも。トレンドかな?
だからおぐさんについては、「何もいうことはない」です。
ここまで頑張って長く書いたけどね。頭捻ってウンウンうなって無理やりね。
Bブロック
川邑ミク(松竹芸能)
レンタル彼女
可愛い彼女とのデート中...かと思いきや、実はレンタル彼女というサービスを受けていた。可愛い彼女と接客モードのおばちゃんを一人二役で行ったり来たりするコント。
アイディアかキャラが命のコントですが、彼女の場合はキャラ…というか演技力で持っていく事を選んだようです。アイディアとしてのレンタル彼女は...ちょっとお笑いとしてもSFとしても古いかな〜。多分、探したらあると思うんですよ、実際にこんなサービス。
そのルックスと、一人二役のギミックの器用さに誤魔化されがちですが、よく見ると彼女のコントは横澤夏子にインスパイアされたものだと分かります。
というか、ビジネスモードの演技になった時なんて「まんま横澤夏子」ですよね(笑)
「料金、九万になりますー」というボケでお客さんが「えーっ!?」となりましたが、ちょっと数字がリアル過ぎましたかね(笑)
数字のボケは難しいのですが、明らかにボッタクリと思われるような52万円とかの方が分かり易かったですかね。
しかし、よく考えると9万円とかお客さんがギリ払えるよう絶妙な価格設定なので、「しっかりビジネスしようとしてるやん」と裏まで考えると面白くも思えてきます(笑)逆に良心的なんじゃないかと。
しかし、最近の観覧客はうるさいですねぇw なかなかにアメリカンな反応を見せてくれます。
チョコレートプラネット長田(よしもとクリエイティブエージェンシー)
新しいジェットコースター
はんにゃの「ずくだんずんぶんぐんゲーム」に代表される、いわゆる「何だか良くわからないモノ」系のネタですね。実際に小道具として、変な装置の現物を見せられるのが良いですね。良くわからない用語や装置に振り回されてる感じがとても良かったです。ただ理想を言えば、トップリードの建築予定の下見のコントみたいな、最後には、もっともっと装置にドタバタに振り回されて、長田さん自身もっと被害にあって欲しかったですね。あの電動で動くやつとかで(笑)
でも、普通に完成度が高いと思いました。小道具と共に。
どうでも良いけど長田さん、太りましたよね(笑)
ゆりやんレトリィバァ(よしもとクリエイティブエージェンシー)
霜降り明星せいや(よしもとクリエイティブエージェンシー)
Cブロック
濱田祐太郎(よしもとクリエイティブエージェンシー)
盲目漫談
ネタ自体はオーソドックスですが、非常にしっかりした漫談でした。冒頭の拍手を要求するツカミで分かるんですが、彼は相当舞台をこなしていますね。こういう賞レースとなると王道ネタは若干不利なのかも知れませんが、それでも盲目漫談ができるのは彼だけですからね。
この方は僕まったくの初見だったんですが、やっぱり最初は戸惑いましたね。「これ、笑って良いのかな?」と。何か、してはいけない感がハンパじゃなくて。もちろん上手いのは分かるし、普通に面白いこともわかる。ただちょっと自分の中のモラルというか道徳心のようなモノが身構えてしまいました。
ただ、これだけは言えるのは「このネタを観るのは2回目からがオモロイ」という事。そう2回目からはバイアスが取れて普通に観れるのです。ただ彼はこのあと最終決戦にも行ってるんだけど、さすがに僕はその日に偏見を取り去るのはムリでしたけど。
深夜に書いたラブレターを次の日に推敲して我に還るように、別日にもう一度お試しください。ラブレターは大抵丸めてクシャクシャポイですが、こちらは我に還って初めてわかります。「あぁ、これはオモロイ!」と。
紺野ぶるま(松竹芸能)
プロポーズを断る
松竹はこういうキレイどころの女芸人を繰り出してきますね。そりゃね、お祭りだしね。それで一人でもスター生まれたら儲けもんだよね。というか、事前Vで「私、叩かれやすい」といってたけど、数秒のしかない事前Vでもう叩かれそう。たぶん女子ってこういう人のこと大嫌いですよね(笑)なんだろう?モテそうというか。男子とも仲が良い女子というか。ともあれ、炎上の原因はたぶん自分にあると思う。
いつかの横澤夏子を思い起こさせるシチュエーションのネタ。ミクの方ががっつり横澤だけど。設定だけね。でも、こういうサンプリングは丸パクリじゃなければ全然良いのです。ピン芸人ってただでさえコントの設定が限られてきますしね。先生ネタとか。みんなで仲良く同じシチュエーションを元に設定をリミックスするのです。例えば、POISONGIRLBANDの「島根と鳥取」とバカリズムの「都道府県の持ち方」みたいに。そこにお互いの了解があったかは分からないけど、全然いい。設定をゼロから考えるのって芸人は相当カロリー使いますからね。そーゆーもんなのです。
で、ネタ。ゲスい女の本音をさけぶネタ。うーん、良いと思うんだけど。準決勝とかどんな受け方だったのかな?なんかフレーズの入れどころのタイミングが甘くないですか?かつてニッチェもリズム上では変な入れ方してて、彼女たちは圧倒的演技力という力ワザで持っていった部分があるんだけど。ぶるまの場合はもっと入れるべきところで入れた方が良いんじゃないかな?すごーく勿体無いことしてる感はうけます。
そして1番気になったのは、何というか...「ゲスそうでゲスくない」という中途半端さ。あれはどういう事なんだろう?天然なのか何なのか。やるならもっと毒突いて欲しいかな。まさか炎上を怖がって手加減してる?
僕がすごく面白かったのは、「男運が上がって来ていると言ってる割に望みが低い」というところ。男運のMAXがプロサッカー選手の2軍(笑)ここ広げたら面白かったんじゃないかなー。と思いつつも、一歩間違うと出雲阿国さんみたいな DV元彼不幸ネタみたいになっちゃうので、さじ加減が難しいですよね。
目の見えない濱田さんに、審査員の投票結果を、横で教えてあげていたのが良かったですね。それでも何とな〜く炎上臭が漂っているのは何故だろう...。
僕がおかしいのか!?
粗品(よしもとクリエイティブエージェンシー)
ツッコミかるた
U20お笑い選手権の時に初めてみた粗品ですが、今回久しぶりにみるとフリップめくりのスピードをかなり遅くした印象がありました。
今回ゆっくりになって思ったのは、
「ファミ通のおハガキのコーナーみたいなボケだなぁ」という事。
個人的にはスピードが速いフリップめくりの訳のわからなさを面白いと感じていたので、少し残念ではあります。
「バク飼い中国人」「既婚者トーマス」「無眠(目が赤いムーミンの絵)」など、ダジャレだけど絵で見る事で面白いという。それからダジャレじゃないけど「犯罪者予備軍」まさにファミ通町内会なネタ。(そういうノンテーマ大喜利で絵ネタをするコーナーを見た事ある)僕もよく読んでたし、大好きだったのでめっちゃわかります(笑)ちなみに僕もレターズ伝言板まで一字一句読んでました。そして、相田みつをネタでリズムスカし。さらに同じ絵で、いくつもツッコむボケ。オーソドックスな絵ボケ。なんというかフリップネタの基礎から応用まで丁寧に指導していただいた感じがします(笑)
というか、人っていうのは絵で見る「違和感」ってなかなか気付きませんね。ツッコまれて初めて気付く。なんかレオナルド・ディカプリオ主演の映画「シャッターアイランド」を思い出しました。
まぁ、別に良いんだけど、絵が絶妙にヘタクソですよね(笑)まぁ、別に良いんだけどね。フリップネタをこうして分析したのは僕も初めてだったんですが面白いですね。映像脳を刺激するというか。これは趣味的に、引き続きリサーチしていけたらと思います。
マツモトクラブ(SMA)
ストリートミュージシャンの父親
今回も彼が開発した(?)台本のほとんどが音声を流すナレーションコント。これは僕的には本当に革命だと思っていて、何となく芸人間で流れていた「裸舞台に音ナシでどれだけ出来るか?」というラーメンズ&バナナマンが作り上げた価値観をぶっ壊したという意味で、もっともっと評価されて良いんじゃないかな?と思っています。
で、ネタ。最寄駅前で歌っているストリートミュージシャンが仕事帰りに通りがかって応援してくれる父親への思いを歌としてBGMとして流して。その父親をマツモトクラブが演じるというネタ。トップリード以来のハートフルコント師ですね。
流す音に合わせてツッコむのは割とみんな出来るけど、音にツッコませるっていうのは難しいと思うんですよね。間とかも合ってるのが凄い。曲として覚えてるのかなぁ。不思議です。というか色んな芸が入ってましたね。タップダンスとか。作曲は自分で作ってるかはわからないけど。歌ネタとお芝居とダンス。もはやショー。いや、他の組もショー感強かったよね全然(笑)
最終決戦
おぐ
君の名は(逆バージョン)
本当に...何も言うことはないんだけど(笑)DVDのくだりでもっと何か出来たんじゃないかなー?とか思うけど。でも、そういうんじゃないからね。もうね。何にも言うことはありません。
ゆりやんレトリィバァ
あるある
「何故ゆりやんは、あんなに起用なのにあるあるネタに走ってしまうのか?」という、非常に新書のタイトルっぽい疑問がどうしても浮かんできてしまうのですが(笑) いつも、あるあるネタと外側のパッケージが関係なさ過ぎてビックリしてます。ジョブズの格好して出て来た RGさんの i pod あるあるがまともに見えちゃいます。まぁ、あれも曲は関係ないか(笑)2017年大会は蒼井優と綾瀬はるかの中間みたいな感じでしたが、今回は誰だろう?仲間由紀恵?
ゆりやんはすでに売れてるし、THE Wも優勝してるし、正直何しに来たの?感は否めませんが。連続優勝のインパクトで東京でのブランドを強めたいのか、ダンスをフィーチャーしてたのでミュージカルの仕事欲しいのか。まぁ、あの洋楽を流したりとか見てるとシステムをサンプリングされて先にブレイクしたブルゾンちえみへの逆サンプリングのようにも見えなくもないけど。
まぁ、でも売れ続けるってずーっと忘れられないように、視聴者に印象を残し続けないといけないって事だからね。たぶん、誰よりも怖いよね。何もない人よりも、一度手に入れてしまった人の方が失うのは、それはもう恐怖だよね。
あと、ゆりやんみたいな愛嬌のある感じだと、女の子に毒づくネタは止めた方が良いかな?一個だけ入ってたけど。可愛い顔して毒舌吐いてそのギャップが...とはならない気がする。そんな感じかな。
濱田祐太郎
盲学校
最終決戦ではちょっと緊張してましたかね?それでもやっぱり盲目漫談はオリジナルですねー。最後はもう学校でのエピソード漫談でした。いまでも上手だけど、演技が上手くなったらもっと面白くなるんじゃないかなー。今は声おっきくしてワッてところがあるけど。まだ今年で芸歴6年目という事なので、そこは大丈夫でしょう。
逆にこれを読んでる人の中に、芸人志望の人が手っ取り早く漫才を面白くしたければ、とりあえず声おっきく出してくださいね(笑)いや、自分はおぎやはぎ、ハチミツ二郎みたいなボソボソと喋るネタに憧れて... とかマジ論外です。(←いまだに結構ある)あれは演技力の果てに、そして自分らの面白さ、持ち味をわかっての事ですからね。ツーランク上くらいのスキルなので。まぁ、あえてやって痛い目みるってのも勉強ですから、どうしてもという方はトライしてみてください。たまにその人のキャラにピタッとハマって二段飛ばしで上に行く組もいますんで。ただ僕はあんまりオススメはしないかなぁ。
総評
史上初の障害をもった芸人さんが優勝しました。これは僕、すごく良いことだと思います。肩書きがあることで仕事も増えると思うし。テレビの仕事がくるかは分からないけど、少なくとも盲学校でこの漫談やったらバカウケするだろうし、障害をもった方達に勇気を与えられると思いました。
個人的にはカニササレアヤコさんのネタをもっと観たいですね。あんなに緻密で練られた構成は2006年大会バカリズムのトツギーノと2008年大会の世界のナベアツのネタ以来でした。
トレンドとして演技力系ひとりコントが流行ってるのかな?と思いました。たぶん横澤夏子が凄いので、それをお手本にしたフォロワーだと思うんですけど。おそらく予選を見たらもっともっとウジャウジャいるんじゃ無いかな?ただ、あれは本当に演技が上手くないと出来ないと思うので、日本のお笑い界って随分器用になったんだなぁとシミジミ思いました(笑)
でも本気でファイナリスト狙いに来るなら、コンテクストを変えなければいけないと思います。THE MANZAI の本大会でアルコ&ピースが出た翌年には、予選で前年のアルピーのネタフォロワーが湧いて出たという記憶があります。いよいよ皆んな気付き始めたとも思うんですけどね。
まぁ、そんなこんなで如何でしたでしょうか?あんまり大した事を書けた手応えはないですが(ないんかい)、まぁそこら辺の毒にも薬にもならない元芸人の感想記事よりは面白いこと言えたんじゃないかな、と思っています。
あとはファンとか本人に刺されない為に、身バレしないように雲隠れして生きていきます。そうだ、高飛びだ。明日にはインドネシアに密入国だ!
それでは、生きていたらまた。
R-1ぐらんぷり2019の感想もあります!(書きかけw)
よければ是非^^
おしまい
お笑い工学の佐々木くん (@yoshiwa1221) | Twitter