どーも、お笑い工学研究員の佐々木くんです。
今回のテーマは「笑いの統一理論」
日夜、お笑いの教科書づくりに励んでいるお笑い工学研究所ですが、調べていくと哲学者や心理学者によってお笑いを理論化して証明しようという動きがじつは昔からあった様なのです。ニーチェ、プラトン、カント、アリストテレス...。結構なレジェンド哲学者が笑いについて言及しております。何より僕が驚いたのは、「世界的に見てもまだ笑いの統一理論はない」という事です。(TEDトーク 世界のプレゼン術 実践篇より)
ええええええーーーーー!!!!!!!!
マジかよ!!!!!!!
いま2018年だよ???????
....マジなんです。
ただ、有力とされている理論はいくつか上がっている様なので、まずはそれをご紹介いたします。
優越理論
不一致理論
不一致解消理論
解放理論
...みたいな感じ。一つ一つカンタンな説明とか翻訳とか書いても良いんですけど、まぁ今日のテーマとは違うので別記事でまとめますね。
サルスの笑いの2段階モデル
そんな中で、僕はペンシルバニア大学の心理学者サルスの理論が、日本のお笑いとしては当てはまると思いました。ちなみにサルスは上でいう不一致解消理論を提唱してる人。これは人が笑うまでの情報処理がこうなんじゃないか?っていう流れを追ったものになります。
①読み込み
②背景の設定
③話のすじの組み立て
④テキストの予測
⑤予測は合ったか?
⑥終わりか?
⑦意外性あり
⑧テキストの最終部分を導く認知的ルールを見つける(問題の解決)
⑨ルールは見つかったか?
⑩笑い
わかりやすく言うと、
「期待との不一致によるズレの検出と、その解釈によって笑いが生まれる」
....全く何言ってるか分かりませんね(笑)要は⑦までで「期待していた結果を裏切る」⑧以降で「そのズレがどうズレていたのか理解して笑う」...という理論らしいです。もっと噛み砕いて言うと、漫才でボケられた瞬間は無意識の中で違和感は感じるけれど、何のことかは分からない。間髪入れずにツッコミが入って初めて、「逆だろ!」とか「しつけーな!」とか「おっさんじゃねーか!」とかルールを見つけることで笑いが起こるみたいな事だと思います。
サルスの理論をササキがREMIXしてみた
このままではちょっと使いづらいので、この理論を元に僕がリミックスしてみようと思います。ちなみにこのモデルは、人が笑いを認識するためのプロセスって事ですが、僕のリミックス版は「ギャグがウケるかどうかのスクリーニング」に使えるようしたいと思います。
まずわかりやすい様に引き算してみましょう。①読み込むとか当たり前過ぎることはカット。③はサルスが理論の証明に4コマを例に出していて、それにしか当てはまらないからカット。⑤の予測は合ったか?は⑦と重複してるのでカット。⑥も最後までいく場合だけ示せば良いからいらない。⑧と⑨は似ているので⑨に纏める。
...という事で、一旦はこんな感じ。
②背景の設定
④テキストの予測
⑦意外性あり
⑨ルールは見つかったか?
⑩笑い
で、ここから元お笑い芸人として実際の舞台経験もある(←ココ重要!)ササキがREMIXしてみます。
まずササキの理論によると、⑨は漫才においてのツッコミのこと。コントの場合は最初にルールを提示するので②に含まれます。とりあえず⑨をいったん外します。そして⑩の笑い。無事に⑩までたどり着けば笑いが起こるという事ですが、僕は⑩の前にもう1要素入ると思っています。それは「バカバカしいか?バカバカしくないか?というジャッジ」です。オモロイかオモロくないか?と言い換えても良いです。これを⑩の前に挿入します。
引き算したり並び替え、足したりして番号も振りなおしてみました。先ほど浮かせてあった「⑨のルールの有無」を僕なりの解釈に直して「バカバカしいか?」に合体させます。
...という事でササキのREMIX版はこうなります。
ウケるチェックリスト
①背景の設定
②テキストの予測
③意外性あり
④バカバカしいか?(どこが矛盾してるか分かるもの)
⑤笑い
うおおおおおお!!!!超見やすい!!!!使いやすくないですか?ねぇ?使いやすくないですか?(自己満)これなら漫才のボケもコントのボケもナンパの声かけもギャグがウケるコツとツボを抑えて全部すべらないように調整できねぇ?(SEO対策)これがあれば会社で学校で、女の子たちにモテまくること間違いなし!(ポジショントーク)人生100年時代ずっと無双状態のイージーモード!ファイナルファンタジー4のイージータイプ!つよくてニューゲーム!上上下下左右左右BAの初っぱなから無敵状態の沙羅曼蛇グラディウスパロディウス!!!!!
....すみません、取り乱しました。。。
以上になります。
あー、なるほど!そこに含まれる感情とは?
ネタ番組なんかを見ている時の自分のリアクションって、「あー、なるほど!」「確かに!」ってのが多いと思いませんか。一番始めにやったツイキャスを聞いてくれてた方が「笑いって納得なんじゃないか?」と仰っていました。その時はまだ僕も自分の感覚の言語化が追いついてなかったのですが、あれから考えたり調べたり自分の感情をフィードバックした結果、なるほど確かに納得だと。そんで納得の中にまたいくつか感情が入っているんじゃないかと。それは「理解と共感、さらに少しの驚きが含まれる」なと思いました。で、理解だけで留まって意外性が少ないと笑いが起きにくかったり、仕掛けに気付いた納得まで行く(納得は後からくる)と笑いが起きたり沸いたりするんじゃないかなーと思っています。
オンクさんありがとうございます^^
じゃあ聞くがよー、バカバカしさってなんなのよ?
僕が思うに、
バカバカしさ = 違和感(矛盾)のズレの大きさ
ではないかと思います。
これに則って、見えないボーダーラインのようなものがあって、それを越えた時に笑いが起こるのではないかとササキは思います。違和感というとピンキリあって、「なんだよ、ちゃんと違和感作ったのに笑い起きねーじゃねーかよ!バーカ、佐々木バーカ!」という声が多発しそうなので、ここではハッキリと「矛盾」という事にします。漫才のボケなんかも「あるツッコミ」をハメ込むための、その形に合わせた穴をわざと空けて作りますよね。
以前の記事で、感情のコップ理論を展開しましたがあえて当てはめると、まずそのコップを浅いお皿みたいな物の上に置くと。で、コップを満たすと意外性を出すことが出来て、お皿まで溢れさせると笑いが起きるという感じでしょうか。
で、実際にどうすればバカバカしくできるのか?っていうと、やっぱりそれで一本書けてしまうくらい長くなってしまうのでまたの機会に。
いかがでしたでしょうか?まだ発展途上で今後もアップデートしていくかもですが、この佐々木モデルに当てはめてギャグを考えると、ウケる確率がグッと高まるのではないでしょうか?すでに手元にあるギャグも当てはめてどこがおかしいのかな?みたいにしても良いと思います。一般の方はもちろん、これからお笑いを始める方、始めたばかりの超若手芸人の方もぜひ使ってみてください!それではまた次回!
おしまい