お笑い工学研究所

お笑い工学を研究する元お笑い芸人の「佐々木くん」とお笑い工学を広く伝えたい「そもんず」によるお笑い工学の研究所です。

台無しにすると価値が生まれる!?「死亡フラグ」のススメ

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どーも、お笑い工学研究員の佐々木くんです。

今回のテーマは「死亡フラグ」です。

今やアニメや映画の影響でかなり浸透していると思われる死亡フラグ。これは漫才やコント、すべらない話においての「フリ」の部分を学ぶ上で勉強になります。この仕組みを理解しておくことによって、エピソードトークや普段の生活上でボケる場合でも一段上のものにできるはずです。

 

死亡フラグとは

死亡フラグとはキャラクターがその行動等をとったがために、死に至ったり絶望的な状況になることを示すフラグ。例として「この戦争が終わったら○○と結婚するんだ」、「さようなら。君に会えて本当に良かった」等がある。

フラグ (ストーリー) - Wikipedia

死亡フラグ (しぼうふらぐ)とは【ピクシブ百科事典】

【死亡フラグまとめ】絶対死ぬやつあるある50選 | オモコロ

 

....まぁ、要するに「押すなよ押すなよ?」の死ぬバージョンですね(笑)こうしてみると結構いろいろあるんですねぇ。

 

 

 

 

 

価値を高めて「台無し」にする

人というのは残酷なもので、素性も知らない人が何人死んだところで何とも思わないんですよね(笑)まぁ、何とも思わないは言い過ぎかも知れませんけど。だから登場人物、その人の背景を描くんですよね。家族がいるとか、子供がいるとか。それをすることによって、リアリティーが出るし、共感するし、死んだら泣くんですよね。なのでシナリオによって死ぬ予定になっているキャラクターには(笑)この戦争が終わったら家族ともう一度幸せに暮らすみたいな事を言わせる。それでキャラクターに厚みが出るんですよね。無事に帰らなければいけない理由もできる。そうする事によって死というものが大きくなるんですよね。

 

価値があるものを台無しにした時に、そこにギャップが産まれて心が動かされやすいです。

 

 

漫才に見るおふざけフラグ

例えば、漫才でこんなセリフが良く見られます。

 

「○○やってみたいから練習したい」
「でも、難しいと思うよ?」
「いや出来ると思うのよ」

 

仕事やスポーツ何でもそうだと思いますが、一生懸命にマジメにやろうとしてのミスなら許されるけど、最初からやる気がなくてのミスなら「フザケてんのか!」となりますよね。漫才でも同様に、ふざけようとしてふざけてるなら誰も聞いてくれません。コンビニ店員ならコンビニ店員を。結婚式の司会なら結婚式の司会を。銀行強盗なら銀行強盗を。本気でそれをしようしてる中でやむなく「間違ってしまった」というスタンスが大切なんですね。そこから※フットインザドアー的に入っていって、どんどんエスカレートしていくんです。最後のオチでは最初からやる気がなかったでも良いかもしれないけどw   とにかくポーズだけでもマジメにこなす事の価値を与えておくんですね。それによって緊張感も出ますしね。

 

これはパッと見では、地味に見えますがとても大事なことです。小説や脚本、映画でもこのパートが必ずあります。例えば映画の冒頭なんかだと...。「何の変哲もない日常。だけど、家族がいたり友達がいたりそれなりに幸せを感じている主人公。しかし、ある日突然トラブルに巻き込まれ、日常という幸せが失われてしまう。その日常を取り戻すためにトラブルの解決しようとする」...みたいな。逆にこの部分がないと鑑賞する人を引き込めないので成立しません。映画にハリウッド的なド派手なアクションが見たくても、人間っていうのはどうしても理由が欲しいようです。アクションだったら戦う理由。復讐なのか、脱出なのか、病気の妹を救うためなのか。創作というウソを信じてもらうために必要な手続きなんですね。それがそのままミッションをこなす価値の高さになったりしますから。日常があってハプニングがある。当然また逆もある。映画をよく観察するとストーリーが動く瞬間なんかは全部逆から入ってるんですよね。交渉とか説得とかのテクニックでも、言わせたい台詞の逆から入るっていうのがあると思うんですけど、やっぱり心理学的にギャップっていうのは効果があるのだと思います。そのためのフラグなんです。

 

大事なのはステルスすること

死亡フラグは有名になり過ぎてしまいましたが、それでも映画を観てキャラクターが死ぬと全然泣けたりします。それは何故でしょうか?理由はカンタンです。それはフリ方が上手いから。実際には冒頭で書いたようなベタベタな死亡フラグは今はあまりないんじゃないでしょうか?死亡フラグに限らず、上手いフリというのは誰にも気付かれないようにサラっと入れてきます。死亡フラグならいかにもこいつ死なないよって感じの雰囲気を出してきます。これは漫才もすべらない話でもそうです。気付かれない様にオチに関するヒントを提示しておく。ハプニングの原因となる理由付けをちりばめておく。(これを因果律というらしいです)フリの上手さっていうのは、これから起こしたいハプニングから逆算して、それが際立つようにフるのです。原因に対して結果が立つように接触部分の角度の当て方に気をつけましょう。そうする事でオチへの落差が生まれやすくなります。

 

 結論

価値を高めて台無しにしたり、逆から入って相手の感情をうごかそう!

 

いかがでしたでしょうか?フラグ(フリ)というのは広く知られている以上に、使いこなせる人は少ないのです。ここをガッチリやることによって、お笑い能力の基礎が身につきます。正しくフることが出来て、初めて面白いボケを考えることに集中できます。皆さん日々の生活から積極的にフラグを立てていきましょう!